クスリと腸内環境:抗生剤・制酸剤の意外な影響とは?

2025/01/30 腸活コラム
腸活 薬 抗生剤 制酸剤

はじめに

 

抗生剤制酸剤は、病気を治すために比較的安易に処方されたり、使われたりする薬ですが、これらが腸内環境に与える影響についてはあまり知られていないかもしれません。このセクションでは、特に、抗生剤と制酸剤について、腸内フローラに与える意外な影響を簡単にお話しします。

 

腸内環境に影響を与える薬のメカニズム

 

まず、抗生剤の影響について見てみましょう。抗生剤は病原菌を駆逐するために使用されますが、腸内で共生している善玉菌をはじめとした腸内細菌にも影響を与えてしまいます。
次に、制酸剤胃酸の産生を抑えるために使用されますが、胃酸が減少すると、胃の中で働く消化酵素自体の産生や活性も落ちてしまうために食物の消化が不十分になりやすくなります。これにより腸内で栄養素の消化・吸収が悪化します。
これらの結果、腸内バランスが崩れ、腸内環境が不安定になる可能性が高まるのです。



 

消化 胃酸 善玉菌 悪玉菌

抗生剤の悪影響を最小限にする方法

 

抗生剤を使用すると、病原菌だけではなく善玉菌などの腸内細菌全体が減ったり、善玉菌が減った分、悪玉菌や真菌(カビ)可能性が増殖するという菌交代現象が生じたりする危険性が高まります。これらを防ぐための簡単な方法をご紹介します。

1.何よりも大事なのは、不必要な抗生剤を使わないことです。例えば、普通の風邪の原因はウィルスであり、抗生剤は全く効果がありません。本当に必要なのか、医師などに確認してから使うようにしましょう。

2.抗生剤使用中は、プロバイオティクス製品発酵食品(例えば、納豆味噌)を摂取しましょう。これにより善玉菌の回復を支援できます。

3.抗生剤治療後には、プレバイオティクス食物繊維など、善玉菌をはじめとした腸内細菌のエサとなるものが豊富な食品)を積極的に摂取することを心がけましょう。これにより生き残った腸内細菌が回復速度が上がります

4.抗生剤使用中は、水分を十分に摂取し、腸内環境の変化を最小限に抑えることが大切です。

 

プロバイオティクス プレバイオティクス 発酵食品 水分

制酸剤の意外な影響と対策

 

制酸剤胃酸の生産を低下させるための薬ですが、胃酸が減ると食品の消化が不十分になり、腸内環境に悪影響を及ぼすことがあります。また、胃酸が減ることで、一部の病原菌が腸に到達しやすくなる可能性も指摘されています。
制酸剤の影響を最小限にするためのポイントは以下の通りです:

1.まずは、本当に、制酸剤を必要とする段階なのか、他に対処法は無いのかなどの確認が大切です。単なる胃の炎症程度なら、まずは胃粘膜保護剤でも問題無いはずです。抗生剤と同様に、安易には使わないように心がけましょう。

2.その上で、やはり制酸剤を使用する必要がある場合は、医師からの適切な管理を受けるようにしましょう。そして、なるべく長期に使用しないようにしましょう。

3.消化を助ける酵素を含む食品(例えば、パイナップルキウイを食事に取り入れると良いでしょう。

4.制酸剤を使用している間は、腸内環境を整えるためにプロバイオティクスプレバイオティクスを併用するのがおすすめです。

 

ドクターJINのつぶやき

 

抗生剤制酸剤は実際の病気の治療に役立つ一方で、腸内環境に影響を及ぼす可能性があります。薬の使用中だけでなく、使う前や使い終わった後でも腸内バランスを守るために、食事や生活習慣を工夫することが大切です。

私、ドクターJINは、腸活を通じて健康的な生活をサポートできるような情報発信をするように心がけています。

あなたも、腸内環境を意識した生活を始めてみてくださいね。