ワクチンによる免疫〜メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの仕組みとそれに伴う利点
これまで、腸活について書いてきました。その中で、腸活を行うことによって、期待できるメリットの一つは免疫ということもお伝えしました。
免疫に関して、私、ドクターJINが個人的にとっても気になっているのは、新型コロナのワクチンに関してです。2024年10月(つまり、今月)から実施される新型コロナのワクチン接種は定期接種対象者を「65歳以上の高齢者」「60〜64歳の重症化リスクが高い方」となっています。問題は、今回の接種から薬剤として、従来あるファイザー社やモデルナ社のものに加えて、明治ファルマが販売するレプリコンタイプ(mRNA自己複製型)のものが入ってくる点です。そこで、今回は、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンについて、まずは、その仕組みと共に利点と言われていることからまとめてみたいと思います。
mRNAワクチンのこれまでの簡単な経過
新型(武漢型)コロナ感染症(COVID-19)の流行以来、これまで接種されてきたメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは、これまでの従来型ワクチンとは異なる革新的な技術に基づいて開発されてきました。その基本的な仕組みは、病原体の一部であるスパイクタンパク質の設計図(=mRNA)を体内に導入し、細胞にそのタンパク質を作らせ、免疫系がそれに対する防御を形成するというものです。この技術は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで広く注目され、ファイザー・ビオンテック社やモデルナ社などからのワクチンが急速に展開されました。
mRNAワクチンの仕組み
mRNAワクチンは、従来のワクチンと異なり、病原体であるウィルスそのものを使用しません。代わりに、その一部である「スパイクタンパク質」(コロナウィルスであれば一番外側の膜になるエンベロープ上にあるスパイクタンパクの一部)と呼ばれる構造を体内で作り出すための遺伝情報をmRNAという形で体内に送り込みます。このmRNAは、ヒトの細胞内でタンパク質を作る工場であるリボソームに読み取られ、スパイクタンパク質が一時的に生成されます。スパイクタンパクは新型(武漢型)コロナウィルス(正式名称:SARS-CoV-2ウイルス)が人の細胞に侵入する際に使うものですが、ワクチン接種によって作られた生成されたスパイクタンパク質自体は無害です。体内で作られたスパイクタンパク質に対し、免疫系は抗体を生成し、実際のウイルスが体内に侵入した際に迅速に対抗できるようになります。
免疫応答の誘導
mRNAワクチンが体内でスパイクタンパク質を生成すると、免疫システムがこれに反応して抗体を作り、さらにウイルスを攻撃するT細胞も活性化されます。この免疫応答により、将来的に本物のウイルスが体内に侵入した際、すでに準備された免疫システムが迅速に対応し、ウイルスの増殖を素早く抑制することができます。このような仕組みによって、mRNAワクチンは非常に高い有効性を有しています。
体内でのmRNAの役割
mRNAワクチンのmRNAは、ワクチン接種後、細胞内でスパイクタンパク質を作った後、自然に分解されるとされています。このため、mRNAはDNAには組み込まれず、体内に長期間残ることは無いはずです。この事は一部で懸念されているような、遺伝子が改変されるリスクがないことを意味します。通常のmRNAは人体の細胞(核)内で常に生成され、それがコードしている特定のタンパク質合成のために使われた後、短時間で分解される物質です。ワクチンのmRNAも同様に自然に速やかに分解されるのであれば、直接には体に負担を与えるものでは無いという事になります。
mRNAワクチンの利点
まず、mRNAワクチンの最大の利点は迅速な開発が可能であるという点です。従来のワクチン開発にはウイルスを培養した上で、それを不活化したり、弱毒化したりするプロセスが必要でしたが、mRNAワクチンではその必要がなく、ウイルスの遺伝情報さえわかれば短期間で設計が可能です。このため、COVID-19パンデミックの初期に非常に速いスピードでワクチンが開発され、世界中で使用されるようになりました。
次に、安全性の高さも挙げられます。mRNAワクチンは、生きたウイルスを使うわけではないため、ウイルスがワクチン接種によって体内で増殖するリスクがありません。また、ワクチンn使われているmRNA自体は非常に短命で、数日以内に体内から分解される(とされる)ため、長期的に体内に残ることもなく、遺伝子に影響を与えることもありません。
さらに、mRNAワクチンは強力な免疫応答を引き起こす能力があります。これにより、高い有効性が期待され、多くの試験でファイザーやモデルナのmRNAワクチンが95%以上の予防効果を示しました。また、ブースター接種によって免疫力を強化することができ、変異株に対してもある程度の防御が期待されています。
mRNAワクチンの普及と今後の課題
mRNAワクチンは、これまでにないほど速いスピードで開発され、世界的に広がりを見せました。しかしながら、この技術はまだ新しいものであり、長期的な安全性に関するデータは限られています。短期的な副反応としては、接種部位の痛みや発熱、倦怠感といったものが一般的であり、一部ではアナフィラキシーや心筋炎、心膜炎などの稀な副反応が報告されています。しかし、これらの副反応は非常に稀であり、一般的にはワクチン接種の利点がこれらのリスクを上回るとされています。
今後の課題としては、変異株に対する効果をより高めるためのワクチンの改良や、さらなる安全性の確保、そして世界的なワクチン普及率の向上が求められています。また、自己増幅型mRNA(レプリコン)ワクチンなど、次世代のmRNA技術も研究されており、より少量のワクチンで強力な免疫応答を引き出すことが期待されています。
ドクターJINのつぶやき
mRNAワクチンは非常に効果的で、安全性も高いとされていますが、長期的な研究や新しい技術の進展が今後の鍵となります。この技術は、COVID-19パンデミックを収束させる大きな力となっただけでなく、今後の感染症対策や他の病気への応用にも期待されています。
私、ドクターJINは、まずは、mRNAワクチンについて色々と言われている中、今回はの利点と考えられるものについて、まとめてみました。
あなたも、自身が受けてこられたワクチンについて、この機会に考えてもらえると嬉しいです。